けあらし 「けあらし」が立ち込める中、出漁する漁船(釧路港で) 穏やかに晴れた朝、海面からもうもうと風呂場の湯気のように水蒸気が立ち上ることがあります。これを北海道では「けあらし」と呼んでおり、留萌地方で使われ始めたのがきっかけとされています。けあらしは、気温が最も低くなる日の出ごろに発生し、昼前には消散することが多い現象です。 このメカニズムは、まず夜間に放射冷却が強く起こり、内陸や山地で空気が冷やされます。冷やされた空気は重いため、谷や川に沿ってゆっくり流れ、河口から暖かい海面上に流れ込んで霧が発生するのです。留萌や釧路、浦河などの地方の沿岸部で多く見られるのは、このためです。現れやすい気象条件は、冬型の気圧配置が緩んで季節風が弱まった時で、気温が氷点下15度以下、海水温と気温の温度差が15度以上、風速は2―4メートルくらいの弱風時です。 けあらしは、日中も穏やかな晴天を約束してくれます。このようなことから、シバれた朝は「日中の漁日和」と地元の漁師の方は歓迎しています。 ◇ ◇ この週末は、冬型が弱まる見込みです。土、日曜日は、日本海側を除く太平洋側と道東、オホーツク海側は晴れるでしょう。日本海側は、土、日曜日とも一時雪が降りますが、日曜日の方が天気は良い見込みです。 日本気象協会北海道支社 石掛 貴人