なんだか大げさなタイトルだが、ただの夢の話。
ある町で、エイリアンか何か得体の知れないものに、人々が体を乘っ取られていく。乘っ取られた人は、外見は変わりないが、全くの別人になってしまう。感情のない人間らしくない生き物となって、冷たい目をして街中を歩いている。私は彼らから子供たちを守るために、そして、肉体を乘っ取られた人々をなんとか元に戻そうと、数人の仲間と共に町に滞在している。町を歩く時は、私自身も彼らの仲間だというふうに演技しなければならない。仲間でないとばれたら、襲われるのだ。私たちは警戒しながら町のあちこちを探る。周りの人間がすべて恐ろしい敵だという緊張感が、次第に私の体力と気力を奪っていく。
町中がすべて占拠されて、私たちも追い詰められ、もうだめだと思ったとき、別の街から大勢の人間が橋を渡ってやって来た。以前同じような目にあって私たちの組織が助けた別の町の人間たちが、私たちを助けに来たのだ。
ふと気が付くと、私は時計屋の一角で布団に寝かされている。私は町が元に戻ったことを知る。友人が私に抱き枕を差し出して、ゆっくり眠るように促す。私は枕を両腕両足で抱え安心して眠る。
長い眠りから覚めた後、私は気力と体力が回復していることを実感する。気分がとてもいい。起き上がって時計屋のショーウィンドウを眺める。見るからに安物のシンプルな掛け時計や置時計が並んでいる。それから輝きのない古びた宝石類。友人が隣から「偽物でしょ」と声を掛ける。恐竜の形をした用途のわからない置物。ショーウィンドウの向こうには背が低く小太りで頭の禿げた時計屋の親父が立っていた。私はその主人の表情を見て、ああ人々は元に戻ったのだと、改めて心からほっとするのだった。
実を言うと、この夢の前半は2,3週間前にネットで見た古い SF 映画『スナッチャー』にそっくりだ。格別面白くも印象にも残らない映画だったのに、しかも半月以上も前に見た映画だったのに、なぜ今頃夢に見たのか不思議で仕方がない。けれど、夢の後半、時計屋の場面以降はオリジナルで、深く心地の良い眠りから目覚めたときの充実感や安心感が忘れられない。温かな世界が回復したのだと思った。