靴屋と老女(夢の話)

 
   石造りの古いデパートに古い友人と共にいる。銀行の金庫のように厚いエレベーターのドアを手動で開閉する。どこもかしこも古ぼけていて、薄暗く、狭い。エレベーターで屋上に上がると、靴の修理屋が露店を出していて、長い客の行列ができていた。白髪の男性が二人、屋台の中で立ったまま靴を修理している。屋上の真ん中には、二人の老女が敷物を敷いた上にちょこんと正座していた。何か商売をしているのだが、何の商売なのか具体的にはわからない。その向こうに、白いシートが敷いてあり、真ん中には無造作に投げ入れられたコインや紙幣が山積みになっている。靴の修理屋も老女たちも古い人間なので、今日からここで商売ができなくなるらしい。シートの上のお金はそれを惜しむ皆からの寄付金である。

  私は無性に悲しくなって、大粒の涙をぽろぽろと流す。ああ、老女たちとも今日でお別れなのだ、と思うと、悲しくて悲しくて仕方がない。城壁のような屋上の手すりにもたれかかって、私はぽろぽろと涙を流す。

 

  古ぼけたデパートの雰囲気が数日前に見た夢の中の時計屋の空気と似ている。靴の修理屋というのも時計屋と何か関連があるかもしれない。白いシートの上にお金が集められている様子はお正月の神社みたいだ。すると老女たちは神様なのだろうか。

 

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