ニュースの軽重

 

 先週、花王のエコナシリーズ全商品が、発がん性物質を含む可能性がある*ため、出荷停止された。

 そのニュースを耳にしたとき、「へえっ」とびっくりした。大きなニュースだと思った。だってエコナと言えば、体にいい油とかで、CMでずっと大々的に宣伝してきたし、なにしろ国が“特保”というお墨付きを与えている。



 “特保”とは“特定保健用食品”のことで、体に生理的にいい影響を及ぼす成分が含まれていることが科学的に証明された食品である。

 体にいいんですよ、と声高に宣伝してきた商品が一転して体に悪かったとなれば、メーカー側で意図した結果でないにせよ、宣伝文句を信じて使ってきた消費者からすれば、これは大きな詐欺なんじゃないかと、まずはそれで「へえっ」と思った。これは大問題なんじゃないかと思った。発がん性物質が含まれる疑いは3年ほど前からちらほらと言われてきたようだ。全然知らなかった。

 しかし、私の感じているそのニュースの重大性に比べて、報道の扱いが小さいような気がしてならない。どこも、メーカーの自主的な出荷停止という事実に、安全性には問題ないというメーカー側の主張を付け加えた型通りの記事を淡々と伝えるだけで、それ以上は触れようとしない。

 それに比べて、酒井法子を追いかけるマスコミのパワフルなことといったら!叩いても面倒がない相手となればマスコミは容赦なく群がる。

 別に酒井法子をかばうわけじゃないけれど、そもそも起訴になるかどうかすら微妙なところだった。若者の間に蔓延するクスリを社会的問題として世間に知らしめるための見せしめ的意義はあっても、それほど躍起になって彼女個人を追いかけるほどのものじゃないと思う。この件でのマスコミの大騒ぎは、滑稽なほどだ。


 話題ついでにちょっと余談。

 拘置所から出てきた彼女はとても美しかった。一ヶ月半も不自由な場所にいたのに、髪はつやつやさらさらで、顔も去年の夏の映像よりふっくらとして色艶がよく、感嘆した。あらためて、とても魅力的な人だと思った。



*訂正: (誤)発がん性物質を含む可能性がある→(正)発がん性物質を生成する可能性のある成分を含む

 
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