近所に出戻りの娘さんがいる。数年前に子供を連れ実家に戻ってきた。実家の狭い庭いっぱいに大型トラックが一台。娘さんはトラックの运転手だ。砂利を運ぶ。彼女のお母さんによると、働くのが好きで、高校生の頃から早く就職したくて仕方がなかったそうだ。いつも朝早くから大きな車体を上手に操って、家の前の狭い道を出ていっていた。
それが、この間の総選挙の頃から、しばしば日中もトラックが庭に止まっているようになった。政権が決まらないので、公共事業関係がストップしてるせいだとお母さんから聞いた。
さて、選挙が終わって、鳩山内閣が本格的に始動している。先日、新聞に「48ダム、年度内凍結」という見出しが載った。
ごく当たり前に、必要のない公共事業を行うのは税金の無駄遣いで、そういう無駄を排して税金を有効に使おうというのはとても正しいことに思える。私もそう思う。でも、公共事業が減ると、近所の娘さんの仕事もきっと激減するだろうと思うと、必ずしもいいことばかりじゃないような気もする。
そう言えば、ニューディール政策って言葉を学生の頃、習ったっけ。あれは確か、アメリカが不景気のときに公共事業に力を入れて仕事のない労働者を救済したという話だったんじゃないかな。
富の再分配という役目が国家の重要な役割で、一見建設業界だけを潤すように見える公共事業も実は、自分の力だけを頼りにこつこつと働く肉体労働者や日雇い労働者たちの生活の糧として切実に必要とされている。
では、雇用の確保のために環境破壊までして要りもしないダムを造るのがいいのかというと、やっぱりそうもいかない。
あちらを立てればこちらが立たず。政治とは、経済とは何と難しいのだろう。
翌日、引き続き考えてみた。
インフラが整っていなかった時代は、公共事業によって大規模な開発を行ってもそれはそのまま社会の発展に役立つ遺産として残った。今の日本ではそれが“余分な開発”になってしまう。ではどうやって雇用を創出すべきか。
低賃金で重労働で人手不足の介護業界?細やかな配慮を必要とする難しい職種だと思う。農業はどうだろう?国が大々的に農業を支援する。自給率も引き上げることができて一石二鳥。浅はかな考えかしら?