<関税>中国産ターゲットに強化 ウナギなど462品
21時26分配信 毎日新聞
政府は発展途上国からの輸入品にかける関税を優遇する「特恵関税制度」について、4月から除外する品目を大幅に拡大する。新たに465品目が除外対象となり、その大半の462品目を中国からの輸入品が占める。ウナギのかば焼きやマツタケ、綿製ハンカチ、手袋など多岐にわたり、関税率は平均で4%程度引き上げられる。安い中国産品は日本でも幅広く流通しているが、小売価格が上昇し、暮らしに影響を及ぼす可能性もある。
今回の見直しは、一国からの輸入額のシェアが高い品目を優遇対象から除外するのが目的。開会中の国会に特恵関税を見直す改正法案を提出し、4月から適用する方針だ。除外対象は一定期間の輸入額が全体の50%を超えるものを原則としているが、これまでは「特恵関税を適用することが国内産業に与える影響を把握できる」などと限定する要件を設定していた。改正法案はこうした要件を外す。
この結果、これまで中国からの13品目に限られていた除外品目は大幅に拡大。そのほとんどを中国製品が占めることになったのは、中国が日本の全輸入額の約2割を占める最大の輸入相手国で、「国際競争力のある品目が相当出ている」(野田佳彦財務相)ためだ。
中国は急速な経済発展に伴い、10年の国内総生産(GDP)で日本を抜いて世界2位の経済大国に浮上したことが確実視されている。「中国はもはや優遇措置が必要な途上国とは言えない」との見方もあるが、特恵関税は1人当たりの国民所得で対象国を決めるため人口の多い中国は引き続き対象国とみなされる。ただ、特恵関税が適用された輸入額は09年度に1兆5516億円で、このうち中国からの輸入は86.1%を占めており、「競争力のついてきたものはどんどん外していく」(野田財務相)姿勢だ。
今回の見直しで新たに除外される中国からの輸入品はマツタケやウナギのかば焼きなどの食品から綿製ハンカチ、手袋、傘、ポリ袋などの日用品まで幅広い。農水産品や工業製品は関税が原則免除されていたが、本来の税率に引き上げられる。加工食品は7.2%に軽減されていたが、本来の9.6%に戻る。
特恵関税引き上げの影響について、大手スーパーは「自社で吸収できる範囲で、今のところ小売価格に転嫁することは考えていない」と話す。ただ、体力の弱い中小小売業者などは、仕入れ価格の上昇を吸収できず、商品値上げに踏み切らざるを得ないところもありそうだ。【久田宏】
【ことば】特恵関税制度
特定の国からの特定の輸入品に対して、一般の関税よりも低い税率を課す制度。発展途上国の輸出増加や工業化を促して、経済発展を支援するのが目的。先進各国で実施されており、日本では1971年に始まり、現在は154の国と地域から輸入される約3500品目の農水産品と鉱工業品が対象になっている。今年3月末で10年ごとの更新時期を迎えるため、対象品目などの見直しを行う。
今回の見直しは、一国からの輸入額のシェアが高い品目を優遇対象から除外するのが目的。開会中の国会に特恵関税を見直す改正法案を提出し、4月から適用する方針だ。除外対象は一定期間の輸入額が全体の50%を超えるものを原則としているが、これまでは「特恵関税を適用することが国内産業に与える影響を把握できる」などと限定する要件を設定していた。改正法案はこうした要件を外す。
この結果、これまで中国からの13品目に限られていた除外品目は大幅に拡大。そのほとんどを中国製品が占めることになったのは、中国が日本の全輸入額の約2割を占める最大の輸入相手国で、「国際競争力のある品目が相当出ている」(野田佳彦財務相)ためだ。
中国は急速な経済発展に伴い、10年の国内総生産(GDP)で日本を抜いて世界2位の経済大国に浮上したことが確実視されている。「中国はもはや優遇措置が必要な途上国とは言えない」との見方もあるが、特恵関税は1人当たりの国民所得で対象国を決めるため人口の多い中国は引き続き対象国とみなされる。ただ、特恵関税が適用された輸入額は09年度に1兆5516億円で、このうち中国からの輸入は86.1%を占めており、「競争力のついてきたものはどんどん外していく」(野田財務相)姿勢だ。
今回の見直しで新たに除外される中国からの輸入品はマツタケやウナギのかば焼きなどの食品から綿製ハンカチ、手袋、傘、ポリ袋などの日用品まで幅広い。農水産品や工業製品は関税が原則免除されていたが、本来の税率に引き上げられる。加工食品は7.2%に軽減されていたが、本来の9.6%に戻る。
特恵関税引き上げの影響について、大手スーパーは「自社で吸収できる範囲で、今のところ小売価格に転嫁することは考えていない」と話す。ただ、体力の弱い中小小売業者などは、仕入れ価格の上昇を吸収できず、商品値上げに踏み切らざるを得ないところもありそうだ。【久田宏】
【ことば】特恵関税制度
特定の国からの特定の輸入品に対して、一般の関税よりも低い税率を課す制度。発展途上国の輸出増加や工業化を促して、経済発展を支援するのが目的。先進各国で実施されており、日本では1971年に始まり、現在は154の国と地域から輸入される約3500品目の農水産品と鉱工業品が対象になっている。今年3月末で10年ごとの更新時期を迎えるため、対象品目などの見直しを行う。