ホテルの一階に“嵐庭”というレストランがある。
お薦めだという薄切り牛肉の煮込みには赤いとうがらしがたくさん乘っていて、私は辛いのが苦手なのでちょっと躊躇したら、夫が、赤いのを除ければ大丈夫、と言う。それで慎重に赤いのを除けて食べた。ちょっと辛さを感じたが、肉がやわらかく、さっぱりしていて美味しい。牛肉だそうだ。中国で、こんな牛丼に乘せるような薄切り肉なんてめずらしい。これならぱくぱく食べられる、と思ってもう一口食べたら途端に舌にぴりぴりっとした感触が広がった。口の中全部がしびれる。たまらない。うわっ、ぴりぴりするよ、と顔をしかめると、早くお茶を飲んで、と言われ、ごくごく飲む。するとしびれが少しおさまった。よく見ると肉の合間に何か丸い小さな丸い実が入っている。山椒だ。
肉自体の味はおいしいのに、このしびれはたまらない。
後から、もしかしてここは四川料理の店だったのだろうか、とも思ったが、他に頼んだ蓮根の炒め物はほんのり甘い味つけだったし、貝と白菜と豆腐の白いスープは淡白であっさり味だったので、四川ではないのかもしれない。南の方の味つけだとは思うのだけれども。広東料理かな?
飲み物にお茶を頼んだら、お茶は急須ごとの値段になるので、2人だと高くつく、梨茶(?よく聞き取れなかった。たぶん梨という単語が入っていたと思うのだけれど)というのが、ウチのお薦めで、5元でおかわり自由だと言うので、それにした。梨茶は、甘いお茶だった。私は普段、食事のときに甘い飲み物を飲む習慣がないのだが、実はこれが口の中の痺れをよく緩和してくれた。もし普通の熱いお茶だったら、痺れが治まるどころか促進されたのではなかろうかと思う。やはりきちんと考えられているのだ。
蓮根のシャキシャキ加減と、スープの中の白菜のゆで具合が絶妙だった。
このレストランは以前、超高級料理を出していたのを、メニューを一新してリーズナブルな値段に変えたのだそうだ。するとたちまち繁盛するようになったとさ。
一人当たり
貝のうまみが滲み出たスープが最高においしかった。また食べたい。
もちもちっとした感触の小麦粉のお餅。甘酸っぱくて、デザートのような感じ。