コラム:金利と株価で占う「ドル115円」の現実味=亀岡裕次氏
亀岡裕次 大和証券 チーフ為替アナリスト
[東京 29日] - ドル円は、ニューヨーク時間7月21日正午の101.34円を基点にすると、9月26日の109.31円まで7.97円、率にして7.86%上昇した。この間、ドルの実効為替は3.64%、非ドル通貨の対円為替は4.07%上昇している。つまり、ドル高も円安も進行したが、後者の寄与度がやや大きいわけである。
非ドル通貨の対円為替は昨年来の上昇トレンドを今年5―8月に一時下回ったものの、9月には再び同トレンドを超える動きをみせている。これは、世界の主要株価指数が直近高値を更新しているリスクオンの動きと関係しており、「リスクオンの円安」が進んでいることを示している。
通常、市場がリスクオンになると、ドルは円などの低金利通貨に対しては上昇する一方で、高金利通貨などに対しては下落するために、ドルの実効為替は下落しやすい。しかし、リスクオンの下でもドルの実効為替が上昇している理由に、欧州中央銀行(ECB)の追加緩和期待と米連邦準備理事会(FRB)の利上げ期待を背景に米国の長短金利がユーロ圏を上回る状況となったため、ユーロ売り?ドル買いが起きやすくなったことなどが挙げられる。
<米金利上昇加速なら株安?円高に>
今後の為替相場のポイントは、米国の金利動向にあると考えられる。米10年国債利回りからS&P500株式益回りを差し引いた値は、金利との裁定関係から株価の割高?割安を測る指標であり、今は比較的高い水準にある。
ただし、2010年1月のピークより1.1%程度低く、13年末のピークより0.5%程度低い水準にある。金利上昇および株価収益率(PER)上昇(株式益回り低下)の余地は、大きなものではないものの残っていると言えるだろう。
米金利上昇が緩やかに進めば、株価は下がりにくく、リスクオンの円安傾向が続きやすい。ドルの実効為替が上昇しなくても、クロス円を含めて幅広く円安が進むことになるだろう