1 さ霧(ぎり)消ゆる 湊江(みなとえ)の 舟に白し 朝の霜 ただ水鳥の 声はして いまだ覚めず 岸の家 2 烏啼(な)きて 木に高く 人は畑(はた)に 麦を踏む げに小春日の のどけしや かえり咲きの 花も見ゆ 3 嵐吹きて 雲は落ち 時雨(しぐれ)降りて 日は暮れぬ 若(も)し燈火(ともしび)の 漏れ来ずば それと分かじ 野辺の里