どどいつ(2)~行くも行かぬも棹次第

前回からの続きです。


可愛いお方に謎かけられて 解かざなるまい繻子の帯
 「解かざなるまい」という心意気どころか、謎をかけられたことすら気づかない朴念仁もいそうです。朴訥な人もむろんそれはそれで素敵だけれども。


こうしてこうすりゃこうなるものと 知りつつこうしてこうなった
  さて、いったいどうしてどうなったのでしょう?


どこで借りたと心も蛇の目 傘の出どこをきいてみる
  一首目、「謎を解く」と「帯を解く」とが掛詞となっていましたが、この句も「蛇の目(じゃのめ)傘」と「蛇の目(へびのめ)のような疑いの目」が掛詞になっています。短歌でもそうですが、掛詞によってイメージが重層的に膨らんで、たった26文字の短い語句に深い味わいをもたらしていると思います。


帯もできたし箪笥もできて そろそろ旦那と別れよか
  現代の愛人なら着物やタンスの代わりに、車やマンションでしょうか。それとももっと今風に軽く言うなら、「焼き肉食べてヴィトンも買った そろそろアドレス変えようか」なんて、どうでしょう?


 次は、男女の営みを詠んだ句、2首。淫らで卑猥なことを「ばれ」と言い、そういう句を「ばれ句、バレ歌」と呼ぶそうです。


二人手をとり静かに乘りな 行くも行かぬも棹次第
 そうなんですか…。棹次第なんですね…。いえ、私にはよくわかりませんが…。


山のあけびは何見てひらく 下の松茸見てひらく
 これは私にとって大変懐かしい句です。高校生の頃、名香智子さんという私の大好きな少女漫画家の描いた漫画を読んでいたとき、この文句が出てきたのです。あけびと松茸の絵入りで。その時この言葉は高校生の私の頭にしっかりと刻まれたのでした。どどいつだったんですね。この度初めて知りました。


さらに次回に続く。
 
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