不安は「悪い真実」より性悪だ


 12日の朝日新聞に、『情報統制 不安は「悪い真実」より性悪だ』という見出しの記事があった。筆者は一橋大商学部長の沼上幹という方。

 記事の主旨は、政府や企業などの組織のトップが行う情報統制は組織の経営にとってマイナスになる、というものだ。
 企業或いは政府が公式に正しい情報を提供しないと、人々は勝手に不正確な憶測や虚構やうわさを作り上げ、コミュニケーションが活発化し、混乱が高まる。
 「どうなっているのか分からない不安」は、「相当悪い真実」よりもかえって性悪である。「社内を騒然とさせないように」と思った一手が、かえって社内を混乱に落としいれ、加速度的に業績が悪化していく。

 さて、要約だけを読んだ人は、この記事が具体的に何の事故、事件に関して論じられたものだと思うだろうか?
 実は、この記事は冒頭、次のような形で始まっている。
 中国の高速鉄道事故の後処理には、組織の問題を考えるポイントが多く含まれている。中でも、組織論の立場から最も注目されるのは、政府による情報統制である。

 これをそのまま、「日本の原発事故」と置き換えて、全く同じ論を展開しても違和感なく通用するのではないかと思った。


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