クレディ・スイスの新調査によると、アジアが初めて世界で最も富裕な地域となった。
クレディ・スイスが10日発表したグローバル・ウェルス・リポートで、アジアは6月までの1年間で家計の富という点で、欧州を上回ったことが明らかになった。世界全体では家計の資産総額は5.2%減少。欧州が債務危機や世界的な景気減速の影響で最大の落ち込みとなり、資産額は14%減少し69兆3000億ドル(約5400兆円)となった。一方、アジアの家計資産の落ち込みが最も小幅で、1.9%減の74兆1000億ドルだった。
欧州の大幅な落ち込みを受けて、アジア太平洋地域(アジアとオーストラリアを含む)が資産総額で初めて欧州を上回った。
さらに、同リポートでは、アジアは今後数年間で他の地域よりも一層速いペースで富が増加するとの見通しが示された。アジアの富裕層人口は向こう5年間で70%拡大し1170万人に達する見通し。なかでも日本と中国で最も多くの新富豪が登場している。
これに先立ち、キャップジェミニとRBCウェルス・マネジメントが公表した同様のリポートでは、アジアは既に富豪数で米国を上回っていることが示された。
また、クレディ・スイスの今回のリポートは、世界で最も裕福な国は引き続きスイスだと結論している。スイス国民の平均資産は成人1人当たり46万8000ドルだという。一方、7位の米国の成人1人当たりの平均所有資産は26万2000ドル。
アジア太平洋諸国では3カ国がトップ10入りした。オーストラリアが全体の2位で成人1人当たりの資産額は35万5000ドル、日本(同27万ドル)とシンガポール(25万8000ドル)がそれぞれ5位と8位だった。ボストン・コンサルティング・グループが年初に公表した調査によると、シンガポールは既に人口に対する富豪の割合で首位になっている。