今朝の朝日新聞に、ドコモが6月から発売する夏モデルの全機種について、SIMロックを解除できる機能を導入する、という記事が載っていました。(SIMロックとは、携帯電話が他の通信会社で使えないよう制限をかける仕組みです。)
これらの機種を購入すれば、携帯の機器を維持したままドコモ以外の他の通信会社に乘り換えることができるようになるそうです。
私自身は携帯電話のハードユーザーではありません。電話は緊急時以外はほとんど使用しないし、パケット通信は今まで契約すらしていなかったので、ひと月の携帯電話代はずっと1200円前後でした。(最近になってiPhoneを購入したので、状況は変わりましたが。)
しかし以前から、携帯の端末機器と通信会社が別々に選べる中国のシステムのことを聞いていたので、日本の携帯電話における販売の仕方の不合理さには釈然としない気持ちを抱いていました。
そして、その気持ちは私個人の感覚ではなかったのです。
日本の携帯の販売方法についての特殊性・閉鎖性が日本の携帯端末機器メーカーの海外での競争力を低下させている、との分析に基づき、昨年あたりから、総務省が各通信会社に対してSIMロック解除を求めてきた、という話を聞きました。それに対して通信会社側が難色を示し、攻防戦を展開している、とも。
それがようやく実現の第一歩を踏み出したわけですが、調べてみると、興味深いことがいくつかありました。
1.なぜドコモだけが?
ネットワーク品質の良いドコモは、仮にSIMロック解除となってもユーザー流出の影響があまりないと予測しているそうです。逆にiPhoneにもロック解除を迫ることによって、iPhoneのユーザー(=ソフトバンクのユーザー)を自社に取り込もうというもくろみです。
確かに私の周囲でも、ドコモが一番どこでも通じる、との評判です。もし、機種の好みがなかったら、通信の質だけで選ぶなら、ドコモが圧倒的に有利なのでしょう。
そういう情況の中で、通信の質において遅れを取るソフトバンクの孫社長は、かねてから「iPhon、iPadはNTTドコモと戦うための武器。絶対に渡さない」と公言していました。
今朝の朝日新聞でも、記事は下記のように締めくくられています。
…ソフトバンクモバイルの孫正義社長はiPhoneのロック解除には応じない方針を打ち出しており、SIMフリー対応については「1、2機種ぐらいからテストする」としている。
2.携帯端末機器の利用ルートの広がり
そもそも、このSIMロック解除の目的は、“通信業者の意向に従うだけに見える国内メーカーを自立させ、世界進出を後押しするという意義”を持つそうです。
この総務省のロック解除推進理由に対して、今まで日本独自のコンテンツサービスに対応する機種を盛んに開発してきたメーカーが、ロック解除に合わせて新たに開発方針を練り直さなければならず、更なる労力と費用を強いられる、という否定的な見方もあります。
しかし、例えば中国などで、日本の携帯端末機器のデザインのファンが存在します。そうしたニーズ、市場に応じて、国内用の端末機器をそのまま輸出してもいいでしょう。
それから、携帯の中古市場の可能性も広がります。まだ使える機器を壊して貴金属を取り出すだけでなく、そのまま再利用すればいい。よりフレキシブルで市場原理に基づいた端末機器の流通経路が開かれると思います。メーカーにとってはメリットの方が大きいと思いますが、どうなんでしょう?
3.ドコモだけがロック解除しても…。
でも、結局、一社だけがロック解除しても、国内のユーザーにとってはすぐに何か大きな変化やメリットがもたらされるってわけではないみたいです。一方通行の自由化ではユーザー側の実質的なメリットはあまりありません。相互乘り入れの融通の便を享受できてこそ、です。
日本の携帯業界は、本音では、グローバリズムなんてものには興味がないのかもしれません。日本の市場で、既存の勢力だけで、パイを分け合って食べていければそれでいい、と思っているんじゃないでしょうか。
4.最後に、知りたいことがひとつ。
海外で買ったiPhoneにドコモのSIMカードを入れれば日本で使えるようになるのかな?