31日の取引で新興国市場からの資金流出が再び強まり、アジア、欧州、中南米の新興国の通貨?株式?債券が売られた。各国中銀は不安解消に向け措置を導入したものの、多くの国が抱える政治?経済リスクに対する懸念は払しょくしきれていない。
この日はロシアルーブルが1%下落して5年ぶり安値をつけたほか、これまで比較的安定していた中欧のポーランドやハンガリーにも売りが拡大した。
バンク?オブ?アメリカ?メリル?リンチの東欧?中東?アフリカ(EEMEA)債券戦略?経済部門責任者のデビッド?ハンター氏は、「ぜい弱な通貨、高金利、成長低迷、資本流出が連鎖する負の循環に陥っている」とし、「こうした負の循環を断ち切るには、新興国の資産が大きく値下がりする必要がある。そうなって初めて買い手が戻ってくる」との見方を示した。
アナリストの間では、米連邦準備理事会(FRB)による緩和縮小に伴う世界的な流動性低下により、経常赤字や政治リスクなど新興国が独自に抱えている問題が悪化しているとの見方が出ている。
ダンスケ銀行の首席新興国市場アナリスト、ラース?クリステンセン氏は、今回の新興国不安の背景には中国の景気減速懸念があると指摘。「中国人民銀行(中央銀行)による何らかの政策措置が望まれる」としている。
これまで比較的安定していたハンガリーフォリントは対ユーロで1.5%下落。同国の国債利回りは短期債から長期債にわたるまで20ベーシスポイント(bp)上昇した。
ポーランドズロチは1%安。10年債利回りは10bp上昇し、4カ月半ぶりの高水準となった。
トルコリラと南アフリカランドは約1%安。南アフリカの国債利回りは、追加利上げ観測が出ていることで2011年半ば以来の水準に上昇した。 続く...
[ニューヨーク 31日 ロイター] -31日公表されたバンク?オブ?アメリカ?メリルリンチ?グローバル?リサーチのリポートによると、1月29日終了週に世界の新興国株式ファンドから64億ドル(約6550億円)が流出した。流出額は2011年8月以来の高水準。
株式ファンド全体では世界で104億ドルが流出。前週は66億ドルの流入だった。
株式上場投資信託(ETF)は120億ドルの流出。一方、株式投資信託は20億ドルが流入した。
米株を専門とする株式ファンドからは97億ドルが流出し、流出額は2013年10月以来の大きさとなった。
債券ファンドからも19億ドルが流出。新興国債券ファンドからは昨年6月以来の高水準となる27億ドルが流出した。