媚薬





姿の見えぬ金木犀の香りに
朝から晩まで酔い痴れる
何もかも忘れて酔い痴れる

鼻孔から忍び込む甘い香りが
脳の中枢を刺激する
くらくらと眩暈、
とける理性、
利かない手足の自由、

私が私であって私でないよう
纏わりつく見えぬ香りが
私を縛りさらっていく

私は待つ
落花の時を
私が私を取り戻す解放の時を
その時が
記憶の中の香りを求め
狂おしく彷徨う新たな束縛の始まりとも知らずに


 
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最後の一連、変更しました。2007-10-12
 

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