その雰囲気は、いくつかのスライド写真で味わっていただきたい。
【肖像画】の部屋は、【ヌード】の部屋と一緒。どうしても後者の方に目が行ってしまうのは凡人の常。とくに、和田英作の《チューリップ》と岡田三郎助の《水浴の前》のコーナーは見事↓。
【モデル】の部屋は、コロー、?锴遢x、藤島武二、マティス、坂本繁二郎の名作の競演。
【レジャー】の部屋では、いくつか初見の作品があった。とくに興味をそそられたのは、ロートレックの《サーカスの舞台裏》↓。観客のいない場所での馬と道化師たちの親密な世界をこのようにヴィヴィッドに描くのは、ロートレックの真骨頂だろう。
ここで、お目当ての【新収蔵作品室】にはいる。まずは、カイユボットの《ピアノを弾く若い男》↓。
そこで、Wikipediaを検索すると、マルモンテル(Marmontel, Antoine François 1816~1898)はパリ音楽院教授として鍵盤楽器を担当。有能で想像力豊かな教師として名を揚げた。多くの門弟のうち、特筆すべき存在として、ジョルジュ・ビゼーやクロード・ドビュッシーがいる。作曲家としては、夜想曲やロマンスなどの小品に加えて、200以上に上る教育作品を遺したとのこと。したがって、カイユボットの弟が弾いているのは、こういった曲の一つだったのだろう。
カイユボット(1848年8月19日 - 1894年2月21日)は印象派のスポンサーとして有名であるが、彼自身の画も素晴らしい。あまり長生きしなかったこともあって、彼の全作品数はそれほど多くないようである。彼が遺した作品を国に寄贈しようとしたが、当時それほど有名でなかった印象派の作品を受け取ることに時間がかかったことも有名な話である。
私自身印象深かったのは、シカゴ美術館のギャラリー正面に、ドーンと、カイユボットの《パリの通り、雨》が飾られていたことである(その時のHP記事はこちら)。今回、ブリヂストン美術館が入手された《ピアノを弾く若い男》も超有名で、Wikipediaにも画像が載っている。この作品を、いち早く見られて本当に良かった。是非早めにご覧になることをお勧めする。
もう一つの新収蔵作品は、岡鹿之助の《セーヌ河畔》である。そういえば、ブリヂストン美術館で、この画家の回顧展がしばらく前にありましたね(記事はこちら)。今回の作品は、一見すると、アンリ・ルソーの素朴画のようである。見る側も無心に受け止めることができる好作品である。ちょうどこの画の前で、旧知のブロガーの女性2名に遭遇して、一緒に観賞した↓。もちろん、ちょっとおしゃべりもした。
【川】の部屋の出口の隅に、佐伯祐三の《テラスの広告》が淋しそうにしていたので、思わず写真を撮った↓。テーマの【川】とは無関係なのに、なぜここに展示されていたのであろう。佐伯祐三がここでも異邦人のように扱われていたとは思いたくないが・・・。
自宅に帰って、1991年2月刊行の「ブリヂストン美術館 名作選」(↓左;これを1991年9月22日に買った時には6000円の大金をはたいた)と2004年4月刊行の「読む石橋美術館」(↓右)を引っ張り出して、今回の出品リストと比較してみた。
一方、【現代美術】室の14点は、いずれも上記のカタログには載っていなかった。差し当たり、美術館のDBにリンクさせていただくが(96, 97, 98, 99, 100, 101, 102, 103, 104, 105, 106, 107, 108, 109)、今回の展覧会にあわせて図録も作られたようなので、機会があれば見てみたい。
島田館長(写真↓中央)と親しくお話をすることができた。
このような機会を設けていただいた島田館長をはじめとする美術館関係者ならびにモデレーターのTakさんに厚くお礼を申し上げる。
なお、会場内での撮影は、美術館の許可を得たものです。
美術散歩 管理人 とら