中学生の頃、学校の帰りにほとんど毎日図書館に通っていた。石造りの古くて小さな建物、狭い階段を登る。重いガラス戸を押して入ると、すぐ正面の貸し出しカウンターでは職員が難しい顔して本を読んでいた。当時の図書館には子供向けの図書は少なかったし、今のように市民の憩いの場所を兼ねているものではなく、学究の徒が調べ物や研究のために訪れるような場所だった。狭いフロアーはいつも閑散としていた。人が一人やっと通れるほどの狭い通路の両側に、冷たい金属の書棚が並び、かび臭い本がぎっしりと詰まっている。私は本の中で漂う。金魚钵の中の金魚のように、古びた木の枠の窓から時々外の世界を眺める。止まった時間の内側から不断に動く世界をガラス越しに眺めていると、まるで自分だけがたった一人世間からぽつんと取り残されているように感じた。しかし一方で、その石造りの頑丈な建物と過去の遺物である本の山々は私をしっかりと守ってくれた。外界から遮断された静寂の中で、精神は時間と空間を越え自在に飛び回る。泣きたいくらいの孤独の中で、私はその孤独を愛していた。