先日テレビでタモリが、年を重ねるにつれてだんだんと桜が好きになる、というようなことを言っていた。私は桜はきれいだとは思うけれど、さくら、さくら、と騒ぐことになんとなく違和感を覚えていたので、そういうものかしら、と思いながら話を聞いていたら、続けて、一本桜がいいね、と言った。若い桜、目黑とかのチャラい桜じゃなくてね、樹齢何百年とかなるような一本で立ってる桜。こうつっかい棒なんかがしてあって。
あ、これは同感だと思った。並木や公園のソメイヨシノはなんだかふわふわしていて個性がなくて、たくさんあるとわーっと華やかには見えるけれど、そう魅力を感じない。少女の群れのようなものだろうか。
その話を受けて、柳原可奈子が、私、地元が中野なんですけど、中野にもチャラ桜がけっこうあるんですよ、と、当意即妙に「チャラ桜」なる言葉を作り出していた。(とても賢い人だ。)
近所ではチャラ桜が満開である。桜だ、花見だ、宴会だ、とたいそうなことのように言うのには辟易するけれど、樹齢何百年、何千年となるような威厳のある一本桜にお目にかかるにはこちらも気合を入れて訪問しなければならないので、散歩がてらチャラ桜たちの競演の中を何の気なしに歩くのは、ほんのり心を浮き立たせる春の楽しみ方としてなかなか悪くない。
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