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白猫を抱く夢

 
 数日前に見た夢。
 親戚の家に人が集まっている。そのうちの一人の中年の男が自分の幼い子どもを虐待しているらしいということに、私だけが気づいた。しかし下手に騒ぐと、子どもを救えないばかりか更に虐待されることになりかねないので、どうしたものかと考えあぐねる。とりあえず今夜、その男をこのまま子どもと一緒にはしたくないと思っていると、ちょうどいいことに男はまだしばらくこの家にいるので、私が子どもを送っていくことになった。
 私はまだ赤ん坊のようなその子どもを胸に抱いて、外に出る。歩いているうちに、腕の中の子どもは、いつの間にか白い猫になっていた。

 …夢から覚めたとき、胸にまだ猫の体の柔らかな感触と温もりが残っていた。腕の中に猫の姿が見えないことにちょっとびっくりして、それからそこにあったはずの温もりが失われ、からっぽになった腕の中が寂しかった。


 その次の日、また同じような夢を見た。
 古い日本家屋の一室で、男が人間の体をバラバラに切り落としていた。私は偶然、そのバラバラになった人の部分を目撃する。家にいる他の者は誰もそのことに気づいていない。私は皆のいる広い居間に戻るが、いつその男がやってくるかと、内心ひどく怯える。しかし、他の者はそんなことはちっとも知らないようで、ごく普通に振舞っているので、私もだんだんそんな出来事はなかったかのような気になってきた。
 そこへ誰かが、布にくるまれた赤ん坊を連れてきた。私は赤ん坊を抱く。頭を支えるように抱くが、首はきちんとすわっていて、気をつかわなくても大丈夫みたいだ。布で腕と足もひと包みになっているので、とても抱きやすいのだけれど、前日の夢の中の猫のようには温もりは直接に伝わってこない。私は赤ん坊を抱いて、外に出た。

…まだこの後に続きがあったように思うのだけれども、忘れてしまった。覚えているのはここまで。


 そのまた次の日、ライオンに追いかけられる夢を見た。
 私は大きな洋風の家の一室にいる。部屋の奥にいると、入り口からライオンが入って来た。私はあわててベッドのシーツの下にもぐりこんで身を隠す。まだ手や足が部分的にシーツからはみ出ているので、全身を隠さなければと思うのだが、ここで身動きするとライオンに気づかれてしまうだろう。全身を隠すべきか、それともじっと息をひそめて生き物の気配を断つべきか。ジレンマに陥っている間にライオンが近づいてきた。怖くて身動きができない。ライオンはベッドの上に乘ってきたが、結局私がいることには気づかずに去っていった。ライオンが去った後、私は広間へと急いだ。皆にライオンのことを知らせなければと。広間には10人ほどの人が集まって談笑していた。そこへライオンがやって来る。私はおそろしくて声も出ないのに、他の人たちは慌てる様子もない。私は、もしかしてこのライオンは実はそんなに恐ろしくないんじゃないか?恐れる必要はないのではないか、と思った。


  黑猫でも白猫でもネズミを取る猫が良い猫だ、と言った人がいるけれど、縁起の良さで言えば、やっぱり黑猫よりも白猫の方が良いに違いない。
 
 

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