【万葉集】恋歌精选

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昨年(平成18年)7月7日に放送した「ドラマ・万葉ラブストーリー」では、次のような歌が使われました。 参考までにご紹介します。



・ 大地は取り尽くすとも 世の中の尽くし得ぬものは 恋にしありけり




・ 多摩川に晒す手作りさらさらに 何ぞこの子のここだ愛しき

・ 夏の野の繁みに咲ける姫ゆりの 知らえぬ恋は苦しきものぞ

・ よしゑやし 来まさぬ君を 何せむに 厭はず我は 恋ひつつ居らむ



・ 生ける代に 恋といふものを 相見ねば 恋の中にも 我ぞ苦しき

・ 君待つと我が恋ひ居れば我がやどの 簾動かし秋の風吹く

・ かくばかり 恋ひつつあらずは石木にも 成らましものを 物思はずして



・ 我が背子に我が恋ふらくは 夏草の 刈り除くれども 生い及くごとし


・ 逢はなくは 日長きものを 天の川 隔ててまたや 我が恋ひ居らむ

・ たぶてにも 投げ越しつべき 天の川 隔てればかも あまたすべなき

・ 万代に 携はり居て 相見とも 思ひ過ぐべき 恋にあらなくに







【万葉集】恋歌精选



我が背子に 我が恋ふらくは 夏草の刈りくれども 生ひ及くごとし

彼を想う私の気持ちはまるで夏草。刈っても刈っても生えてくるように、この想いは止まらない


(作者未詳)





一昨日も 昨日も今日も見つれども 明日さへ見まく 欲しき君かも

おとといも昨日も今日も君に会ったけど、明日も君に会いたい


(橘文成/詳細未詳)



立ち居て たどきも知らず我が心 天つ空なり土は踏めども

立ったり座ったりして、どうすることも出来ず、私の心は中空にある。足は地を踏んでいるのに

(作者不詳/巻12 2887)




たぶてにも 投げ越しつべき 天の川隔てればかも あまたすべなき

投げた小石が届きそうな天の川なのに、それが隔てているせいで、どうすることも出来ない…

(山上臣億良)



よしゑやし 来まさぬ君を 何にせむに 厭はず我は 恋ひつつ居らむ

 もう来なくなったあなたを、なぜ懲りずに想い続けているのだろう

(作者不詳/巻12 2378)



天の川 川門に居りて 年月を恋ひ来し君に 今夜逢へるかも


天の川のほとりに立って、1年間、ずっと恋慕ってきたあなたに今夜、やっと会う事が出来ました

(作者不詳/巻10 2048)



磯城島の 大和の国に 人二人 ありと思はば 何か嘆かむ


この広い大和の国に 自分の思っている人が二人もいるような平凡な人なら、何で嘆きましょうか。かけがえのないあの人ゆえに、こんなにも嘆くのです


(作者不詳/巻13 3249)





こころゆも 吾は思はざりき 山河も 隔たらなくに かく恋ひむとは

 思いもよらなかった 山や川が隔てている訳ではないのに こんなに恋焦がれるなんて


(笠女郎/巻4 601)



月草の うつろひ易く 思へかも 我が思ふ人の言も告げ来ぬ


すぐに変わりやすい気持ちで思っていらっしゃるからでしょうか、恋しいあなたからの言伝てもないのは

(作者不詳/巻4 583)




うちひさす 宮路を人は満ちゆけど わが思ふ君は ただ一人のみ


大和の奈良の都大路を 人は満ち満ちているけれど、私の思う人はただあの人だけ

(作者不詳/巻11 2382)



かくばかり 恋ひむものそと 知らませば 遠くも見べく ありけるものを


これほどに恋しくなると知っていたら 遠く離れて見ればよかったのに

(作者不詳/巻11 2372)



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